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シームレスな移動・・・水陸両用車︕︖

水陸両用モビリティー製作チーム

今回ご覧いただいているのは、水陸両用モビリティー製作チームが企画・設計した水陸両用車の1/1 スケール

コンセプトモックアップです。
(実機と同じ大きさのモデル。機構やレイアウトを検討するために製作されます。)

このプランにたどり着くまで紆余曲折がありました・・・・
相談を受けたのは2023 年の暮でした。
瀬戸内では、小さな島々を結ぶ連絡船の運航頻度がどんどん低下していると・・・
「じいちゃんでも運転できる水陸両用車なんてできませんかねぇ」

じいちゃんでも運転できる、か。。。
・・・・・トラクターの発想で行ってみる︖
で、最初のアイデアがこれです。 ︖︖戦車︖︖
陸上の乗り物を作ろうとする時、実はハンドルでタイヤの向きを変えるというのが大変な機構なのです︕︕
キャタピラなら左右の速度差をつけるだけで曲がることができ、構造がすごく簡単︕︕
なんならその場で方向転換もできちゃいます。
しかし、どうしても重くなりがちで、浮力を確保するのが一苦労であろうと予想されました。

「でも、なんかイカツ過ぎません︖」
「じいちゃんとばあちゃんがこれ乗ってたら、ちょっと引きます・・・」

「・・・んじゃ、キャタピラやめよっか・・・」
で、出てきた次のアイデアがこれです。

大径バルーンタイヤ4つを普通の四輪車のように配置していますが・・・
ハンドルを回してもタイヤの向きは変わりません︕︕
ホイールベース(前後の車輪の距離)を短くして、それぞれのタイヤの回転速度や回転方向を独立してコントロールすると車体の進行方向を変えることができるのです︕


しか~し︕︕


コントロールするための機構がかなり複雑で、電子部品もやたらとつかわなければなりません・・・

いかに稼働率を高くするかは重要な問題なのです。構造や制御を複雑化すると、故障の原因が一気に増えることになります。ましてや海の上で故障して止まってしまったら・・・


一大事ですよね・・・


なので、構造は極力シンプルに、できれば電気的な装置は使わずにというのが今回のコンセプトの上位に来ていましたので・・・


これもボツ︕︕

実はチームメンバーの1 社がこんなものを製造・販売・レンタルしていました。
名付けてアクアスパイダー︕︕
要は水上自転車なんですけどね・・・
自転車に乗る要領で、ペダルを漕いで水上散歩ができる製品です。

そこで︕︕


「自転車でよくね︖」


という意見が出まして・・・
アクアスパイダーを陸上も走れるように進化させる

という方向性が見出されました。
後輪のタイヤが ❝ヒレ❞を持っていて水をかいて水上を進む方式です。この場合陸上を走行する際にタイヤの転がり抵抗が相当高くなり、人力ではじいちゃんにはつらいはず・・・
そこで、汎用のエンジンをアシストとして搭載する案が浮上しました。
全長3m 以下の船体で原動機の出力が2 馬力以下であれば、

船舶検査・船舶免許は必要ありません。
陸上はアシスト自転車として成立させれば・・・


まったく免許を必要としないモビリティーになるはず︕︕

ここで、またまた技術的なハードルが・・・

 

エンジンを自転車のアシスト動力として使用する場合、動力の取り出し方が非常に複雑になるという問題でした。
アシスト自転車として成立させるには、様々な規定をクリアせねばなりません。
アシスト量はペダルを漕ぐ力に比例していなければならず、アシストの上限も規定されています。モーターを用いれば一気にハー
ドルは下がるのですが、エンジンを用いる場合は、複雑化は否めません・・・

陸上でのアシスト自転車としての成立は断念し、小型特殊車両(耕運機やトラクターなどのカテゴリー)として成立させる方向性が導き出されました。
そうなると、自転車の形態にこだわる必要がなくなります。
そして導き出された形態がご覧いただきました水陸両用モビリティーなのです。

amphibious image

しかしまだ課題があります。

●2 馬力のエンジンでは、海上での必要十分な巡航速度が達成できない︖
●ステアリング機構が複雑で、改善の余地あり

先は長いなぁ~